ツール

Googleタグマネージャー(GTM)のコンテナ品質診断

Googleタグマネージャー(GTM)の「コンテナ品質診断」機能とは

Googleタグマネージャー(GTM)の「コンテナ品質診断」機能は、2024年6月頃からワークスペースに追加された機能であり、GTMコンテナの設定上の問題を検出して警告を表示します。この診断機能を活用しながら、設定の正確性・パフォーマンス・保守性・コンプライアンスの4つの観点からGTMコンテナの品質評価と改善を行うことが重要です。

1. 診断機能の概要と4段階のステータス

GTMのコンテナ診断機能は、設定上の問題の深刻度に応じて品質を以下の4段階で表示します。

ステータス 深刻度 / 状態
優秀 (Excellent) 問題なく最適化された状態です。
良好 (Good) 問題はありませんが、改善が推奨される状態です。
要確認 (Needs Attention) 処置が必要な問題を検出した状態です。
緊急 (Urgent) データ収集に重大な影響を与える致命的な問題を検出した状態です。

よく検出される問題としては、コンバージョンリンカーの未設定、タグが設定されていないページ、追加ドメインの検出、設定コマンドの順序間違いなどがあります。

2. 診断機能の検出精度とユーザーの対応方針

この診断機能は、設定が一定の要件を満たしていない場合に警告を表示しますが、実際には問題なく計測できている場合でも「要確認」や「緊急」と表示されることがあります。したがって、検出精度があまり高くない点に留意する必要があります。

対応にあたっては、以下の点に注意し、実際に設定変更が必要なケースは少ないことを理解しておくことが重要です。

  1. 表示内容の確認:警告が出た内容を確認します。
  2. プレビューモードでの検証:本当にタグ設定に問題があるかを検証してから対応を判断します。

特に頻繁に検出される主要なエラー

現在13種類のエラーが存在しますが、以下の2つが最も多く発生し、クライアントからの問い合わせも多いエラーです。

エラー名 内容と注意点
① 構成用に検出された追加のドメイン 複数ドメインを計測しているにもかかわらず、クロスドメイン設定をしていない場合に表示されます。テスト環境ドメインやlocalhostも検出対象となるため、設定不要なケースが多いです。必要に応じて修正案を確認し、クロスドメイン設定を検討してください。
② 一部のページにタグが設定されていません Googleタグが検出できなかったページや、直近30日に読み込まれていないページを指します。実際にはタグの計測範囲内でも検出できていない場合が多く、検出精度は高くありません。プレビューモードで確認し、計測できていなければGoogleタグの設定を再確認・修正してください。

3. 品質確認・改善のための4つの観点

GTMコンテナの品質を継続的に向上させるためには、診断結果だけでなく、以下の4つの観点から評価を行うことが大切です。

観点 重要な要素
設定の正確性 プレビューモードでのテスト、統一された命名規則の適用、バージョン管理とメモによる変更履歴の記録。
パフォーマンス 不要タグ削除や類似機能タグ統合によるコンテナサイズ最適化、重要タグの優先とその他タグの遅延読み込みによる発火タイミングの最適化。
保守性 定期監査による不要タグ削除、データレイヤーの整合性確認、QA環境でのテストワークフロー構築。
コンプライアンス ユーザー同意管理(コンセントモード)の正しい実装。

4. 深刻度別:対応の優先順位付けと解決方法

診断された問題は、深刻度に応じて4つのレベルに分類し、緊急度順に対応することで正確なデータ収集環境を維持できます。

レベル 対応目安 問題例と解決方法
🔴 緊急 即座に対応が必要です。 データ取得不良(特定ページでトラッキングが動作しない)や間違った送信先(測定IDの間違い)など。測定IDの確認・修正、トリガー条件にホスト名制限を追加、データレイヤーの実装順序を確認します。
🟠 高レベル 1週間以内に対応します。 ページ速度低下(タグによる)、タグ重複実行(カウントの水増し)、クッキー同意設定不備など。重要度の低いタグの遅延読み込み、Consent Modeの実装を行います。
🟡 中レベル 1ヶ月以内に対応します。 古いタグ(Universal Analytics等)の使用、命名規則の不統一、トリガー条件の曖昧性など。GA4への段階的移行や統一命名規則の適用を行います。
🟢 低レベル 時間のあるときに整理します。 タグ説明の未記入、未使用変数・トリガーの残存、本番環境での直接テストなど。説明欄への記載、不要要素の削除、ワークスペースの環境分離を行います。

5. 監査と改善の継続的プロセス

GTMコンテナの品質を継続的に向上させるためには、以下の5段階のプロセスを実行することが重要です。

  1. バックアップを作成します。
  2. 現状を把握します(診断機能やプレビューモードを活用)。
  3. 問題を特定して対処します。
  4. テストを行います(プレビューモード・Tag Assistantを使用)。
  5. 修正後の設定を公開します。

完璧を目指すのではなく、緊急度の高い問題から優先的に対応し、毎月のコンテナ診断画面の確認など、定期的なチェックを習慣化することが正確なデータ収集環境の維持に繋がります。

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP